医療法人社団田辺医院 田辺内科胃腸科医院

過敏性腸症候群・便潜血

過敏性腸症候群とは

このような症状でお悩みの方はご相談ください。
  • ⻑期間下痢や便秘が続きお⼿洗いが近い⽅
  • お⼿洗いが近く通勤等に不安を感じている
  • 排便後スッキリするが直ぐに便意を感じる
  • 便通異常が⻑期間続く

過敏性腸症候群とは、慢性的な便通異常、⻑期間続くお腹の痛みや不快感がありながら腸に異常がない状態のことをいいます。原因は明確ではありませんが、ストレスや腸内細菌叢の変化などが関係していると考えられています。

症状は、下記の4種類に分類されています。

  • 便秘型
  • 下痢型
  • 混合型
  • 分類不能型

発症原因

過敏性腸症候群の発症原因は明確ではありませんが、⼼理的ストレス、腸内細菌叢、遺伝的要因が過敏性腸症候群発症に深く関わっていると⾔われています。

ストレスを⻑期間感じ続ける事で、副交感神経系が活性化状態となります。その結果、便を体外に排出しようとする腸管の蠕動運動が促進され、便通異常を引き起こします。その際は、腸管粘膜の表⾯が過敏状態となっているので、ほんの少しの刺激でも腹痛に感じてしまいます。

また、脂肪分を多く含む⾷べ物の過剰摂取、チョコレートやコーヒー等の過剰摂取も過敏性腸症候群の症状悪化に繋がります。

写真:発症原因はストレスの可能性

よくみられる症状

過敏性腸症候群でよく⾒られる症状は⻑期間続く下痢・便秘、排便痛、腹部の張りなどが挙げられます。過敏性腸症候群の症状は、普段よく診られるものが多くあります。そのため、過敏性腸症候群は軽視される事が多い疾患です。

過敏性腸症候群が疑われた時は

過敏性腸症候群は、腸管の機能異常により便通異常(下痢・便秘)と共に腹痛を併発していきます。しかし、大腸がんや炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎やクローン病)などの器質的疾患も、同様の症状を発症する事が多々あります。その為、過敏性腸症候群と診断する為には、内視鏡検査(大腸カメラ検査)で腸管内を直接観察し、器質的疾患を否定する必要があります。

年齢や症状、症状を発症までの経緯を伺い、過敏性腸症候群の疑いが高い場合でも、一度は大腸カメラ検査の実施を推奨しています。

治療方法

薬物治療

過敏性腸症候群の症状型によって使⽤する医薬品は異なります。
便秘型を発症している場合は、便の排出を促すお薬を服⽤します。下痢型を発症している場合は、下痢を⽌めるお薬を服⽤します。また、便の排出を促進・抑制するお薬以外にも、抗精神薬も処⽅される事があります。

写真:薬

⽣活習慣

過敏性腸症候群の発症は⽣活習慣が⼤きく関わりますので、⽣活習慣の改善が重要です。消化の良い⾷事を⼼掛ける、脂っこい⾷べ物を控える等、朝昼晩の3⾷規則正しく⾷事を取ることが⼤切です。また、⾷事以外では定期的に運動をすることやしっかりと睡眠時間を取る事も⼤切となります。

写真:三食消化の良い食事を

十分な睡眠と休息を

十分な睡眠を取り、3食決まった時間に摂るなど規則正しい生活をすることにより自律神経のバランスを保持するよう心掛けましょう。目が覚めた朝日を浴び、夜更かしをせず決まった時間帯に就寝するなどの集患により体内時間を正常に保つことも大切です。

便潜血検査とは

このような方は要注意です!!
  • 便潜血陽性と指摘された
  • 便潜血陽性と指摘されたがまだ精密検査を受けていない
  • 血便、下血が出た
  • 我慢できない程の腹痛(持続する腹痛)

便潜⾎検査とは検体で採取した便に特別な試薬を加え、便中への⾎液の混⼊を調べる検査です。便中に⾎液が混⼊している場合は便潜⾎陽性と診断され、⼤腸内視鏡検査などの精密検査を受ける事が必要です。

便潜⾎検査と⼤腸がん

⼤腸がんの早期発⾒には便潜⾎検査と⼤腸内視鏡検査が重要となります。便潜⾎検査は40歳以降の⽅には毎年受けていただく検査ですが、便潜⾎検査で陽性と診断される⽅は約5~7%です。
その便潜⾎陽性の⽅で、⼤腸内視鏡検査(⼤腸カメラ検査)の結果ほぼ異状なしの⽅が65%、⼤腸ポリープのある⽅が30%、⼤腸がんは3~5%、即ち1,000⼈に2⼈程度で⼤腸がんが発⾒されています。便潜⾎検査で陽性と診断されても精密検査を受けない⽅が多くいる現状ですが、ぜひ検査をお受けください。

また、便秘で便が硬く排便時に腸管壁を傷つけ、便中に⾎液が混じる場合があり、便潜⾎検査で陽性であったからと⾔って必ずしも⼤腸がんであるとは限りません。

下血の原因となる疾患

血便とは血液の混じった便のことです。肉眼的に黒色、赤色など明瞭に分かるものもあれば、便潜血反応で確認できるものもあります。胃、十二指腸などの上部消化管からの出血は酸性の胃液により酸化され黒くなります。鮮血便は肛門や直腸などお尻に近い部位からの出血により起こります。がん検診としての便潜血検査はそれ自体あまり感度の高い検査では有りません。なぜなら大腸癌があったとしてもいつも出血しているとは限らないからです。血便の原因としては胃潰瘍、十二指腸潰瘍、潰瘍性大腸炎、大腸ポリープ、大腸癌、痔出血などが挙げられますが悪性疾患の除外の為にも内視鏡検査(大腸カメラ検査)を受けていただく事が大切です。

血便の検査と治療の流れ

STEP1:問診

症状の状態や発症した時期を確認させて頂きます。

  • 普段お飲み頂いているお薬についても伺います
STEP2:検査

血液検査、便培養検査、大腸カメラ検査で腸管内部の状態を確認していきます。
大腸カメラ検査では病変組織を直接観察する事が出来る為、確定診断に繋がります。便培養検査では、結果が数日後になってしまいます。
感染症の疑いがある場合には症状の緩和を目的に対症療法を行い、正確な検査結果で感染性腸炎である事が分かり次第で、抗生剤を使って治療していきます。

STEP3:治療

血便が発症してる原因によって適切な治療を行っていきます。
症状が同じであっても、治療方法は全く違う事がありますので、血便・下血を発症された際は必ず医療機関で受診下さい。

お問い合わせ

過敏性腸症候群の治療の実施や、便潜⾎検査を受けて陽性であった⽅の精密検査を実施しております。過敏性腸症候群の治療を放置していると、消化管の他の疾患、消化器がん、⾍垂炎などを引き起こす原因となったり、便潜血の精密検査を受けないと大腸がんかどうかの見極めが行えません。少しでもお腹の不調を感じましたら、いつでもお気軽にご相談ください。