医療法人社団田辺医院 田辺内科胃腸科医院

便潜血検査

便潜血検査とは

以下の項目に該当する方はお早めにご相談下さい!
  • 便潜血陽性と診断されたがその後の精密検査を受けていない。
  • 親族に大腸癌に罹患された方がおられ、自身が40歳を過ぎておられる方。
  • 黒色便、血便が出たまたは肛門出血のあった方。

便潜血検査とはヒト由来血液を特異的に検出するものであり、胃酸や消化液によりヘモグロビンが変性する胃、十二指腸からの出血で陽性となることは少ない検査です。

便潜血検査では便に付着している微量の血液も検出可能です。

2018年の統計では大腸癌による死亡数は女性で1位、男性3位となっています。便潜血検査は大腸癌の早期発見に繋がる検査です。大腸は管腔が広いため病状が進行しないと自覚症状が出現しません。便潜血検査は大腸癌の早期発見を目指したスクリーニング検査として1995年より逐年検診となっています。

便潜血検査と大腸がん

大腸癌検診としての便潜血検査は40歳以上の方に毎年受けていただく検査ですが、便潜血検査で陽性となる方は約7%です。
便潜血検査陽性の方で大腸内視鏡検査を受けた結果、ほぼ異常なしの方が65%、大腸ポリープのある方が30%、大腸癌が3〜5%発見されます。
すなわち1000人に2人程度で大腸癌が発見されています。

写真:便潜血検査

便潜血検査で陽性と指摘されたら

便潜血検査で陽性となる疾患には癌、ポリープ、憩室、痔疾、炎症性腸疾患などがありますが大腸癌の組織はもろく崩れやすいため出血しやすい性質があります。便潜血検査で陽性と診断された場合は早急に大腸内視鏡検査を受けて下さい。

大腸癌は自覚症状のないまま進行していき出血や急な便通異常、腹痛、体重減少を認めた場合には進行がんとなっている可能性の高い疾患です。仮に大腸癌でなかった場合でも例えば潰瘍性大腸炎などの治療を行う上で早期発見は非常に大切です。

大腸カメラ検査で大腸内の精密検査を

注腸造影では便と病変の区別を行うことが難しいことがあり、CT検査でも確定診断ができません。大腸内視鏡検査は大腸の粘膜を直接観察することができ、組織を採取することにより確定診断が可能です。

当院では安心して大腸内視鏡検査を受けていただけるようスタッフ一同協力して1件1件行っています。便潜血検査で陽性と指摘された場合はお気軽にご相談ください。

便潜血検査で陽性が疑われる病気

大腸癌
大腸癌は、回盲部、結腸、直腸、肛門に発生する癌であります。
腺腫を経由するものと、腺腫を介さずに正常粘膜から発生するものが考えられています。早期の大腸癌では自覚症状を伴うことが少なく、腹痛、血便などを認めた場合には進行がんとなっていることが多い疾患です。
便潜血検査と診断された場合には早急に大腸内視鏡検査を受けて下さい。
潰瘍性大腸炎
潰瘍性大腸炎は20〜30歳代に発症することがおおいく、直腸、S状結腸から上行性に進行する炎症性腸疾患です。
腹痛、反復性の粘血便、下痢、などの症状が出現します。潰瘍性大腸炎は指定難病の一つで、近年増加傾向にあります。
クローン病
クローン病は全腸管に起こりうる慢性非特異的炎症性腸疾患です。
腹痛、下痢、発熱、体重減少が主な症状です。クローン病も指定難病の一つであり患者数は増加傾向にあります。
大腸憩室炎
憩室とは大腸壁の一部が外側に突出した状態を指します。
通常は臨床的に問題となることはありませんが、憩室炎が起こった場合には腹痛、出血などの症状がみられることがあります。
痔核
肛門での静脈環流が悪くなり血液のうっ滞がおこり静脈叢が蛇行し発達したものが痔核です。
排便や努責に伴う出血、痔核の脱出、繰り返す出血による貧血などの症状が出現します。
痔瘻
痔瘻は肛門腺の感染によって発生する肛門周囲膿瘍が自壊し皮膚に瘻孔を形成したものです。
肛門腺から始まった感染は括約筋間に膿瘍をつくり様々な方向に広がります。治療として肛門周囲膿瘍に対しては切開排膿し抗菌薬を用いて炎症の拡大を防ぎます。瘻孔は自然治癒することがほとんど期待できないため切開解放術、括約筋温存術、シートン法などが行われます。
裂肛
一般に切れ痔と呼ばれているものです。
便秘により硬い便が肛門上皮に裂創をきたすことにより発生します。下痢や便秘が誘因となり肛門上皮に浅い亀裂が生じ、裂創部に神経が露出し疼痛を起こします。更に便が通過することにより痛みにより反射的に括約筋がれん縮します。れん縮により狭くなった肛門に硬い便が再び通るとまた裂創が生じるという悪循環が起こります。
内括約筋の緊張が強い、再発を繰り返す場合、狭窄が強い場合は手術がなされます。

大腸がんで亡くなる方をゼロにしたい

大腸癌の罹患率や死亡数は上昇傾向にありますが、早期発見により完治可能な疾患です。
現在の大腸癌検診は毎年継続して行うことで検診の精度を上げる設計になっていますので是非継続して受けていただきたいと思います。